商品やサービスには、ペルソナが設定されていることがほとんどです。Webライティングにおいても、掲載先のペルソナに沿って執筆することで、ユーザー満足度の高い記事に仕上がります。
けれども、このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ペルソナの設定方法が分からない
そこで今回は、Webライティングでのペルソナ設定のコツやメリット、注意点を解説します。運用開始後にペルソナを変えるのは困難ですので、本記事を参考に「失敗しないペルソナ設定」を目指しましょう。
ペルソナとターゲットの違いとは?
文章を届ける際には、どういった人に届けたいか事前に細かく考えておく必要があります。届ける相手について具体的に考えるときに用いられるのが、ペルソナとターゲットです。
しかし、違いがよく分からないという方もいるかもしれません。
ここからは、ペルソナとターゲットの定義とその違いについて紹介します。
ペルソナは細かく設定した具体的なユーザー像
マーケティングにおけるペルソナとは、「商品やサービスを利用する人物像」を指します。架空の人物像を設定することで、届けたい相手が明確になり、具体的な打ち手を検討しやすくなる点がメリットです。
Webライティングにおけるペルソナは、Webサイトを立ち上げる際や記事ごとに設定する「記事を読んでほしい人物像」を指します。下記のように趣味や嗜好など細かく設定することが特徴です。
- 佐藤夏摘(仮名)
- 24歳女性
- 大学入学とともに名古屋から上京した
- 現在は東京で一人暮らししている
- 事務職の正社員で、月収は28万円
- 平日は仕事終わりにヨガを満喫している
- 休日は友人とカフェ巡りに行くことが多い
- 外食が多く貯金ができず悩んでいる
ターゲットは大まかに設定したユーザー像
ペルソナに似た言葉として、ターゲットが挙げられます。
混合されることも多いですが、この2つは全く異なるので注意しましょう。
ターゲットとは、「ペルソナよりも大まかな人物像」を意味します。先ほどのペルソナを例に挙げると、ターゲットは下記のように設定されます。
- 20代女性
- 会社員
- 貯金が目標
ターゲットだけで十分ではないかと思う人もいるかもしれないですが、より心に響く文章を書くためにもペルソナ設定は欠かせません。
Webライティングでペルソナを設定する3つのメリット
ペルソナ設定には時間を要するため、億劫に感じる方もいるでしょう。
しかし、ペルソナを設定した方がユーザー目線に立ちやすく、多くの読者の心を掴みやすくなります。
ここからは、Webライティングでペルソナを設定する3つのメリットを解説します。結果として工数の削減にもつながりますので、まだペルソナ設定をしていない人は考えてみてはいかがでしょうか。
ユーザーに必要な情報を届けられる
1つ目のメリットは、余計な情報を排除し、ユーザーが欲する情報を伝えられることです。
例
余計な情報を含んだ記事を執筆しても、ユーザーの離脱率が上がってしまいます。
記事の切り口や適切な伝え方が見つかる
同じ商品を取り扱っていたとしても、ペルソナによって切り口が変わります。ターゲット決めだけでは情報が曖昧ですが、ペルソナを設定すれば、ユーザーの思考を踏まえて効果的に訴求できるでしょう。
「この情報は自分にぴったりだ!」と思ってもらえれば、記事の需要が高まり、サイトへの信頼も厚くなります。
一人の人間としてペルソナを考えることで、まるで身近な友人のように境遇や心境を想像できるようになります。ユーザーの悩みを理解し、購入へと促すためにもペルソナ設定を行いましょう。
周囲とイメージを共有しやすい
ペルソナを決めることで、運営や企画者側の意見のズレがなくなることもメリットです。
ターゲットだけではイメージが曖昧になり、方向性がブレてしまう場合があります。しかし、ペルソナ像が決まっていると軸が安定し、顧客にあったアイデアが出やすくなります。
また、ペルソナがあれば、新たにチームに加わったメンバーにも内容や目的を伝えやすくなるでしょう。
ネタ出しやライティングに掛かる時間も削減されるため、結果的に工数が短縮できることがほとんどです。
Webライティングでペルソナ設定をする際の流れ
初めてペルソナ設定をする方は「何から決めたらいいの?」「必須項目が分からない」という場合も多いでしょう。
ここからは、Webライティングでペルソナ設定をする際の流れを解説します。執筆中にペルソナがブレて後悔しないよう、最初の時点で細かく設定しておくと確実です。
人物像を具体的に想像する
ペルソナ設定をする際は、商品やサービスを実際に利用している具体的な人物像を思い浮かべましょう。
例えば、ファミリー層向け旅行メディアでもペルソナによって内容は異なります。
-
- Aさん一家
- 宿の費用は抑え、その分近隣のレジャー施設で子どもと遊びたい
-
- Bさん一家
- 非日常感があるラグジュアリーホテルでのんびりと過ごしたい
Aさんには、近くに遊園地や動物園があるリーズナブルなホテルが好まれると予想できます。
一方、Bさんは、ホテル内にプールや温泉があり、ゆったりとしたひとときを過ごせることをアピールした方が良いでしょう。
年齢や性別だけではなく、どんな生活リズムや価値観を持っているか、細部に至るまで考えるのがペルソナ設定成功のポイントです。
テンプレートを基に箇条書きで書き出す
初めてペルソナ設定をする際は、何から決めればいいのか分からないと悩むこともあるでしょう。基本的な項目はテンプレートにしておくと、スムーズに作成できます。
商品やテーマによって異なりますが、基本的な項目は下記の通りです。
- 名前
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 家族構成
- 職業や収入
- 趣味
- 生活パターン
- 性格や人生観
- 悩み
- 目標
- 抱えている問題や課題
加えて、記事の内容ごとに追加する項目も出てくる場合があります。Web媒体であれば、「情報収集はテレビかSNSか」「衝動買い派かリサーチ派か」なども当てはまります。
また、ペルソナは文章ではなく、箇条書きで考えると効率化を図れます。文章で考えると、分かりづらく、設定の抜けが生じる可能性があるので注意しましょう。
まずは基本的な項目から考え、パーソナルな部分も考えていくと、余計な時間をかけずに考えられるようになるでしょう。
ユーザーの検索意図を深掘りする
キーワードが決まったら、ユーザーが欲する情報を深掘りしましょう。商品のペルソナはもちろん、記事ごとに考えるとより需要に沿った内容を執筆できます。
例えば、「東京観光 女子旅」で検索した場合、検索者の意図は下記のように考えられます。
- 女友達と過ごすおすすめの観光地を知りたい
- 観光地でどんな体験ができるのか知りたい
- 観光地へのアクセス方法を知りたい
- 良い女子旅プランがあるならその場で予約したい
このように、検索して何を知りたいか、その後にどんな行動を取りたいかを考えると、読者が求める内容を執筆しやすくなります。
さらに「おしゃれ」や「格安」などの検索ワードが付くと、検索した意図がさらに明確になります。読者の課題や気になっていることに寄り添って考えましょう。
狙うキーワードも踏まえて考える
ペルソナを設定する際は、狙いたい検索キーワードを踏まえて考えると良いでしょう。
例えば、「東京観光」というワードでも「東京観光 女子旅」と「東京観光 ファミリー」ではペルソナは異なってきます。ビッグワードだけではなく、関連キーワードもあわせて考えましょう。
キーワードは、Googleキーワードプランナーやラッコキーワードから確認できます。検索する人のニーズを把握するためにも、ぜひ活用してください。
Webライティングでペルソナ設定をする際のポイント
記事ごとにペルソナを変えることはありますが、Webサイト全体のペルソナを変えることはほとんどありません。
そのため、Webサイト運用開始前にじっくりとペルソナを考えておかなければいけません。
ここからは、Webライティングでペルソナ設定をする際の注意点を紹介します。時間は掛かりますが、正しく設定できれば後々効率化につながります。
ペルソナは複数人設定しない
多くの人に届けたいからといって、ペルソナを複数設定してはいけません。1人に絞ることで、ユーザーが求めるものを具体的に考えられるからです。
ペルソナを複数設定してしまうと、情報が薄くなってしまったり、ニーズに合っていない内容になってしまったりする可能性があります。
ペルソナがブレていると誰にも刺さらない内容になってしまいます。まずは1人に届けるつもりで記事を考えましょう。
ペルソナが理想像にならないようにする
よくある失敗例として、書きたい内容が先行し、自分にとって都合が良い人物像を設定してしまうことがあります。
例えば、「地方に住んでいて、美容やファッションが好きな女性」をターゲットとし、下記のペルソナを設定したとします。
- 30歳女性
- 島根県出身で、結婚後は岡山県で暮らしている
- 夫・子ども2人(3歳と1歳)
- 主婦として子育てに専念中
- 夫は公務員として働いており、月収は30万円
- 美容が趣味で、毎月3万円程度デパートコスメを購入する
- ファッションも好きで、毎シーズンハイブランドの服を購入している
実在する人物像かもしれませんが、主婦ではなく共働きに変更するか、美容やファッションをプチプラメインにした方が現実的です。SNSで近い人物を探すという方法もあります。
現実的ではないペルソナを設定すると、後々根本的に見直す必要が生じるかもしれません。ペルソナ設定の最後には「その人物が実在するかどうか」を必ずチェックするクセを付けましょう。
ペルソナ以外にも伝わる文章にする
ペルソナに沿った内容にすることで、結果的に刺さる人数が多くなりますが、ペルソナや記事内容が偏りすぎないよう注意が必要です。ターゲットを狭めすぎると、誰も興味を持たない内容になってしまいます。
ペルソナに当てはまらない人にも読んでもらうことを考え、誰にでも分かりやすい文章を心掛けましょう。専門用語やニッチすぎるテーマを避けることで、多くの人に刺さりやすくなります。
ペルソナを尊重しつつ、幅広いユーザーに愛される記事を目指しましょう。
関連ワードやサジェストを参考にする
ペルソナ設定に悩んだときは、検索の関連ワードを参考にするという手もあります。
関連ワードは、検索ページの下部から確認できます。Googleでは「関連性の高い検索」、Yahoo!では「関連検索ワード」と記載されているのでチェックしてみましょう。
以下、「副業」で検索した際のGoogleとYahooの関連ワードになります。
Google: 関連性の高い検索
Yahoo!: 関連検索ワード
また、検索窓にキーワードを入れた際に検索候補として表示されるサジェストも参考になります。検索者のニーズを知るためにも、一緒に検索されているキーワードを把握しておくと良いでしょう。
サジェストは以下のように副業と入力した場合に表示される「副業 xx」といったキーワードになります。
ペルソナを起点に視野を広げる
関連ワードやサジェストなどでペルソナの興味・関心を理解できたら、狙っているキーワード周辺のネタを取り入れる方法もあります。
元々「40代男性の転職」がメインテーマのサイトだったとしても、子どもの進学や老後の資産形成といった他の悩みを切り口にすることで、自分ごとの記事だと捉えてもらえるかもしれません。
初期のペルソナ設定にない項目だったとしても、ニーズに合っていれば取り入れても問題ありません。さまざまな角度からペルソナの悩みを解決することで、信頼性の高いサイトや記事に近づけるでしょう。
Webライティングの勉強法を詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
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的確なペルソナ設定で読者の心を掴もう
サイトや記事の方向性を定め、読者の心を掴むためにも、できるだけ早いタイミングでペルソナを設定しておくことをおすすめします。
最初は時間が掛かってしまいますが、細かい部分まで決めておくと執筆の効率化につながります。
本記事が、狙った読者に刺さるペルソナ設定の手助けになりましたら幸いです。