コロナ禍を境に在宅ワークが急速に広まり、同時に副業やフリーランスとして仕事をする人も増加しました。
この記事では、在宅ワークを検討している方や始めたての方に向けて、在宅ワークのメリットとデメリットを解説します。
また、デメリットに対しては対応策を提示しているので、参考にして在宅ワークを楽しんでください。
在宅ワークとは
在宅ワークは、在宅勤務とも呼ばれています。在宅勤務がどのような働き方のことを示すのか、厚生労働省の方で明確に定義されています。
在宅勤務は、所属する勤務先から離れて、自宅を就業場所とする働き方です。
テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。Tele(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語です。要するに本拠地のオフィスから離れた場所で、ICTを使って仕事をすることです。
テレワークを「働く場所」という観点から分類すると、自宅で働く「在宅勤務」、本拠地以外の施設で働く「サテライトオフィス勤務」、移動中や出先で働く「モバイル勤務」があります。
コロナが流行し、テレワークを導入する企業が増えましたが、2023年になりコロナが落ち着くと、週に数日テレワークにしたり、一日のうちの数時間をテレワークにするという企業も増えています。
在宅ワークのメリット
働く人にとって、在宅ワークをするメリットは多くあります。働き方から時間、スキル面などを7つのメリットを紹介していきます。
自分のスキルで収入が得られる
在宅ワークを始める理由は人により様々ですが、他者よりも優れていたり得意だったりすることを収入にできることが大きな特徴です。
現在所属している組織や就職先ではメインで行えないことを副業やフリーランスで行うことで、自己実現と収入が同時に達成されます。
初期投資額が低い
「やりたいこと」の実現のために新たに法人を設立し、運用していくとなると費用がかかりますが、個人事業主や副業として行う在宅ワークであれば、提供したいスキルに合わせて必要な物やソフトを揃えるだけで済むというメリットがあります。
現在の仕事を続けながらできるため、資金面での不安も軽減されますね。
外に出なくても働ける
在宅ワーカーの中には、子育てや病気、介護などにより在宅以外の選択肢が取れない、フルタイム就労の選択肢を取れないなどの事情がある人もいます。
必ずしも外出する必要がなく、オンラインで完結できる仕事であれば、通勤時間や身体的な負担は少なくなります。
仕事を選んで受注できる
会社員や公務員の場合、組織から割り振られた仕事やノルマをこなすことが大切なため、好きではない仕事や興味のない部門に配属される可能性があります。
それに対し、多くの在宅ワーカーは自分のスキルを売りにしているほか、自身で仕事を受けるか受けないかを決められます。こうした精神的な負担が少ない点もメリットです。
必要最低限のコミュニケーションで済む
組織で働く場合、同僚や上司・部下との人間関係や日々のコミュニケーションなどに時間やお金がかかることもあります。
対して、在宅ワーカーのコミュニケーション相手は基本的にクライアントに限られるため、対面や日常的なコミュニケーションを負担に感じる人には非常に理想的な環境と言えます。
クライアントも自分で選べるため、苦手な相手と仕事をする機会が減るため仕事がしやすくなります。
仕事のスケジュールを自分で組める
組織に所属している場合、基本的には年俸制や月給制、または時間給など、働いた時間や量に対して給与が支払われ、公休日と有給休暇などを除くと自由に休める時間はありません。
また、複数人数でプロジェクトなどにあたる際にはその期間中公休日ですら休みを取れないこともあります。
それに対し、在宅ワーカーは自分でスケジュールを定めて仕事を納品するため、一件ずつクライアントと納期を相談しながら進めます。
子育て中の世帯などでは、子どもの突然のケガや病気に合わせて柔軟にスケジュールを組み直せる点で、在宅ワークへの評価は高くなっています。
働く場所にとらわれない
在宅ワークは主に自宅で行う仕事を言いますが、その自宅の場所が都心でも地方でも海外でも構わないのもメリットです。「都会に出なければ仕事が無い」といったこともなく、リモートワークで多くの仕事を済ませられます。
場所、国、地域に縛られることがないという自由度に加え、住みたい自治体を自分で選べるため、社会福祉が発達している自治体や、家を安く買える土地、求める医療にアクセスできる場所など、「便利に、快適に暮らす」ことを実現してくれます。
実際に、オンラインのみで仕事が完結する仕事を始めて地方に移住する人口は増え、ワーカーや起業したい人に向けて空き家を安く提供をしている自治体もあります。
在宅ワークのデメリットと対応策
上で在宅ワークのメリットを伝えましたが、同じくらいデメリットもあります。その点も理解した上で在宅ワークを行うことができるでしょう。
住所・氏名を知られる可能性がある
「在宅ワーカー」という名前の通り、基本的な仕事場は自宅ですが、特に法人と取引契約を結ぶ時にはNDA(秘密保持契約)の締結が必要な場合があります。
デメリット
対策
法律・会計・税の知識が必要
在宅ワークでは基本的に個人事業主や法人格として仕事をすることになりますが、法務部や経理・会計部が無い分、自力で法律・税制への対応が必要です。
サービス内容にもよりますが、フリーランス新法・インボイス制度・景品表示法・薬機法などの基本的な部分は随時知識をアップデートするように心がけましょう。
デメリット
これらの法律や制度への理解が浅いと、サービスのPR文で景品表示法に違反してしまったり、副業の収入を税務署に未申告で追加徴税になったりと各種のトラブルの元となります。
会社の中であれば法務部や経理部などが担当してくれる部分ですが、副業やフリーランスだと自分で行うか、委託先を探すところからスタートする点に注意が必要です。
対策
この点については、在宅ワーカーとクライアントを結ぶサービスなどのシステムを利用すると解決しやすくなります。
ソーシャルワーク仲介の大手「ランサーズ」「クラウドワークス」「ココナラ」などは、それぞれ独自、または提携先との法令解説記事や動画を公開しています。フリーランス向けに法律や制度の解説イベントを実施することもあるため、現地で話を聞きたい人にも向いています。
収入が安定しにくい
自動で収益化できるシステムを構築していない限り、在宅ワークでの収入は単純な作業量に比例します。
デメリット
対策
PRに困っている、集客が安定しないなどといった課題は、マーケティングやPRのスキルを持つ他の在宅ワーカーに依頼することで解決に近づきます。
仕事を受注するだけでなく依頼する側に立つことで、ワーカーに事前に提示してほしい要件や知りたい情報、依頼したくなる決め手となるポイントも見えてくるため、自分の提供しているサービスを客観的に見直す機会にもなりえます。
福利厚生サービスの利用は実績ができてから
在宅ワーカーと依頼者を繋ぐクラウドソーシングサービスの一部では、一般企業が利用している福利厚生サービスが利用できます。
デメリット
ただし、利用できるのはサービスの利用期間やサービス経由の収入が一定以上ある場合などと、制限があるのが一般的です。
会社等に在籍しており、福利厚生などの心配が無い場合にはそもそも心配が要りません。
対策
また、福利厚生は必ずしも企業からしか受けられないわけではなく、各種クレジットカードの優待やゴールドカードの会員特典などを利用すると、企業の福利厚生と遜色ないサービスを受けることも可能です。
悲観せずに、すでに契約しているサービスなどの特典を見直してみましょう。
個人事業主の場合、ローンに通りにくくなる場合がある
住宅や車など、金額の大きい買い物で組むローンは、その人の勤め先やこれまでの支払いに滞りがないかといった信用情報などをもとに可否が出ます。
デメリット
対策
年1〜2回の健康診断を受けられない
労働基準法で、事業主には、従業員の就労状況に応じて年に1回または半年に1回健康診断を受けさせる義務があります。
デメリット
組織に所属している場合はそこで健康診断を受けられ、何か異常があれば詳しい検査や産業医との面談などが生じますが、在宅ワーカーだとそういった機会はあまりありません。
血液検査や尿検査、レントゲンなどを自費でフル受診するとかなりの金額がかかってしまいます。日頃の健康維持に努めるとともに、異常がある場合などには病院にかかるよう心がけましょう。
対策
会社勤めでない人も、病気のリスクが高まる年代などになると自治体から健康診断の案内が来る場合があります。
検査料金の割引券や無料券として送られてくることもあるため、そうしたサービスをフル活用しましょう。
中には、自分から自治体に申請しなければ案内をもらえない自治体もあるため、自治体のHPやニュースレターなどを定期的に確認したり、健康・医療に関する項目を調べてみたりする必要があります。
在宅ワークのメリット・デメリットを理解して仕事をしましょう
この記事では、在宅ワークのメリット・デメリットを紹介してきました。在宅ワークは自由度が高く、服装や髪型、場所にもとらわれず自由に働けるという点が大きなメリットです。
対して、組織に属さずに在宅ワークだけで暮らそうとすると、日常ではあまり困らないものの、大きなイベントの際には法律や企業の福利厚生に支えられていた部分があったとわかります。
仕事を在宅ワークにすることで得られる精神的な余裕と、受けられなくなる恩恵を天秤にかけ、自分に合った働き方を考えた上で行動することが大切です。
在宅ワーカーになる、副業を在宅で行う、企業勤めでテレワークをするなど、自分の選択を後悔することのないよう、メリット・デメリットを比べましょう。